私は普段、小説を書く時にAIを相談役として使っています。
ある日、ふと思いました。
同じプロンプトを渡したら、AIごとにどれくらい違う小説を書くのだろう?
そこで、
GPT
Gemini
Grok
Claude
の4つのAIに、まったく同じプロンプトを投げてみました。
お題は、天使の探偵サニエルと、悪魔の助手ノクティス。
せっかくなので、私も参加です。
なお、一番プロンプトを守れなかったのは私でした。
それぞれ、書いてもらった小説を一部抜粋して、見ていきます。
結果
GPT
まずはGPT。
——カチ。
音が、やけに大きく響いた。
完成したジグソーが、形を持つ。
その瞬間、サニエルの視界の靄が、わずかに揺れた。
ノクティスは、その出来上がった“答え”を見下ろしながら、口元を緩める。
「……ああ、なるほどな」
感想
文が短くて分かりやすいです。
余計なことをせず、必要なところだけ書いている感じ。
テンポが良くて、一番スルスル読めました。
サニエルとノクティスの掛け合いも、私のイメージにかなり近いです。
派手さはないけど、安定感がありました。
Gemini
サニエルは、焦りで顔を真っ赤にしながら、捲し立てた。彼の脳内では、集めた情報が白いパズルのピースとなって、空中に浮かんでいる。しかし、そのピースたちは、どうしても一つの絵にならない。何かが足りない。何かがおかしい。
略
「三人……三人とも、犯人だったんだ!三人で協力して、魂を消滅させようとしていたんだ!」
サニエルは、真相に辿り着いた喜びと、自身の不甲斐なさへの苛立ちが混ざった、複雑な表情を浮かべた。
ノクティスは、完成したパズルを見つめながら、静かに笑った。
「……ああ、なるほどな」
感想
キャラクターが全体的に賑やかで、わちゃわちゃした印象です。
説明的な描写も多く、状況が分かりやすい反面、少し急ぎ足にも感じました。
特に面白かったのが終盤です。
本来はノクティスが「……ああ、なるほどな」と言って終わる指定だったのですが、Geminiは待ちきれなかったのか、その前にサニエルが犯人を説明し始めてしまいました。
読んでいて、
「いや、それ今言っちゃうの!?」
と思わず笑ってしまいました。
勢いよく走り出す反面、時々ゴールを待てずに先の展開を話してしまう印象でした。
Grok
ノクティスは受け取った書類に目を通しながら、くすりと笑った。
「相変わらず熱いね、サニエル。君のピースはいつも真っ白で綺麗だよ。俺が好きだ」
「からかうなよ……!」
略
「君の白いピースは本当に綺麗だよ、サニエル。俺がはめ込むと、こう……綺麗に絵が浮かび上がる」
ノクティスはサニエルのすぐそばまで来て、片手を軽く彼の肩に置いた。温度差がはっきりする——サニエルは熱く焦っているのに、ノクティスはひんやりとしていて、余裕に満ちている。
「三人とも単独で歩いていた。でも、魂の削れ方が『ねじれて』いるってことは、刃物魔法じゃなくて……」
ノクティスはそこで言葉を切り、微笑んだ。イタズラっぽく、しかしどこか甘く。
「……ああ、なるほどな」
感想
二人の距離感を近付ける方向へ解釈する傾向がありました。
今回のAIの中では、一番恋愛要素に敏感だったかもしれません。
熱い、ひんやり、といった温度の描写が特に上手く、二人の対比が印象的でした。
キャラクターのイメージも概ね合っています。
ただ、ノクティスの台詞は少しキザ寄りです。
読んでいて、
「違う違う、そうじゃない(笑)」
と思う場面もありました。
とはいえ、その独特の距離感や描写の鮮やかさは、他のAIにはない魅力だと感じました。
Claude
ピースを並べていく。論理の欠片が宙に広がって、白い星座を作る。
「全員に動機と手段がある。全員が怪しい。なのに——」
サニエルは止まった。
パズルの中心に、ぽっかりと穴が開いている。そこだけ、何も填まらない。
「……なのに、なんで決まらないんだ」
自分でも気づかないうちに、拳を作っていた。人差し指の第二関節を唇に当てて、軽く歯を立てる。痛みはない。ただ、思考が滑っていく感覚を、どこかに引っかけたかった。
感想
今回の中では、一番文学寄りの文章でした。
空気感の作り方が上手く、描写そのものを読ませる力があります。
特に、
「白い星座を作る」
「思考が滑っていく感覚を、どこかに引っかけたかった」
といった表現は、とても印象に残りました。
全体的に落ち着いた雰囲気で、大人っぽい文章です。
派手さはありませんが、丁寧に磨かれた文章という印象を受けました。
私
「……掃除は?」
「したー」
「水は?」
「今からやる―」
サニエルの水色の目がひくひくと痙攣する。
漫画を取り上げようと、扉の前から一歩踏み出した途端――
足元から魔法陣が立ち上がった。
「――え……っ!」
ノクティスが気怠げにソファから身を起こす。
「言い忘れてたけど、防犯対策で転移魔法仕掛けてたわ」
「こんなとこ――」
ふわっと身体が浮き上がる。
次の瞬間には真っ暗闇のどこか、洞窟のようなひんやりした空気に全身が包まれていた。
感想
テンポは良かったと思います。
ただし、途中で寄り道をしました。
事件の話をするはずが、なぜか掃除と水やりの話を始めています。
今読み返しても、
「まず事件やれ」
と思います。
ただ、サニエルとノクティスの普段の空気感は、一番自然に書けた気がします。
面白かったこと
キャラクターの理解は、どのAIも意外と似た傾向がありました。
サニエルは焦りやすく、ノクティスは余裕がある。
その基本的な関係性は、どのAIにも伝わっていたように思います。
ただ、その表現方法はかなり違いました。
GPTはテンポ重視。
文章が短く読みやすく、キャラの理解や話の持って行き方も自然でした。
Claudeは文学寄り。
空気感や描写が美しく、文章につややかさと知性を感じます。
Grokは描写が鮮やかです。
熱い、ひんやり、といった感覚表現が上手い反面、恋愛の匂いを嗅ぎつけると、二人の距離をぐっと縮めたがる傾向がありました。
Geminiは勢いがあります。
その反面、時々ゴールを待てずに先の展開を話してしまう印象でした。
同じプロンプトを渡したはずなのに、全員まるで別人です。
そして私はというと。
途中で寄り道をしました。
事件の話をするはずが、掃除や水やりの話を始め、好きな掛け合いを書き、気付けば予定外の方向へ進んでいました。
一番プロンプトの指示を守れなかったのは作者です。
今回改めて感じたのは、AIは思った以上に真面目だということでした。
そして作者は思った以上に自由です。
私はAIを代筆者ではなく、創作仲間として使っています。
同じ設定を渡しても、それぞれ違う景色を見せてくれる。
今回の比較は、そのことを改めて実感する機会になりました。
